今朝のNHK「あさイチ」は熊本の特集で、熊本弁「あとぜき」が紹介されていました。
熊本に住んでいる私にとっては「あとぜき」は子どものころからなじみのある言葉です。
「開けて入った後のドアや戸を閉める」という意味ですが、県外の方には分からないですよね。
地元の新聞社の調査では熊本県民が一番すきな熊本弁が「あとぜき」だったそうです。
これまで、深く考えたこともありませんでしたが、実は大事なことを教えていることが分かりました。
この記事では、あさイチでも紹介された熊本弁「あとぜき」の意味と由来についてご紹介します。
火の国熊本を身近に感じていただけると嬉しいです。
熊本弁「あとぜき」の意味は?
熊本弁で「あとぜき」とは、開けたドアや扉を閉めましょうという意味です。
学校の職員室の出入り口に「あとぜき」と書いた紙が貼ってありました。
図書館の出入り口など、公共施設でも見かけます。
ドアを開けたまま部屋に入ると、「あとぜきして下さい」と言われます。
熊本弁では「あとぜきばせんかい」(意味:あとぜきをして下さい)のようにも使います。
完全な方言を使う人は減ってきていますが、「あとぜき」は若い人でも知っている言葉で、方言だと知らない人も多いです。
「扉を開けたあとは、必ず閉めて下さい」という意味をひらがな4文字で表現できるなんて、便利な言葉ですね。
あとぜきの由来
あとぜきの語源の由来は諸説あります。
一説では、あとぜきの「せき」は奈良時代から使われている古語の「せく」が由来だそうです。
もともとは水をせき止める意味で使われていましたが、次第に空間をふさぐ意味になっていったようです。
「戸をせく」というのは戸を閉めるという意味で九州全域で使われています。
ですが、前にあとをつけた「あとぜき」は熊本の方言で、県外では通じません。
あさイチで紹介された「あとぜき」の由来
今朝のあさイチでは、熊本の歴史研究家「毛利 秀士」さんの説が紹介されていて次のような内容でした。
熊本県には約1400年前の古墳の集まり「古城横穴墓群」と呼ばれる貴重な場所があります。
特に大事な物を埋葬してある大きめの横穴には石の蓋があり、「閉塞石(へいそくせき)」と呼ばれています。
大事な物を塞(ふさ)ぐ塞の音読み「そく」が転じて「せき」になったと考えられるそうです。
「あと」はあとにする、その場を去るという意味。
大事な物を、古墳に埋葬し石の蓋をしてあとにする、ということから「大事な物をしまっておくときには、きちんとしめておきなさい」という教えだそうです。
「あとぜき」という簡潔な言葉に、大切な意味があるのですね。
まとめ
熊本の方言「あとぜき」をご紹介しました。
熊本県ではよく貼り紙で見かける「開けて入った後のドアや戸を閉めて下さい」という意味の言葉です。
今朝の「あさイチ」を見て、「大事な物をしまっておくときには、きちんとしめておきなさい」という教えがあることを知りました。
現代にも通じる大切なことですね。
たった4文字の簡潔な言葉に、古代からの生活の知恵があることに感動します。
方言を使う人はだんだん減ってきていますが、方言でしか表現できない温かさがあります。
標準語だと、意味は通じてもちょっとニュアンスが違う感じがすることはありませんか。
会話で使わなくても、「方言にこめられた思いを子どもたちにも伝えていければいいな」と思います。
最後まで、お読みいただきありがとうございます。この記事が少しでもお役に立てれば嬉しいです。
それでは、今日も素敵な時間をお過ごしください♪